火災保険に入る事にメリットはあるの?とお考えの方も多いかと思います。
しかし、火災保険の加入が遅くなってしまったばかりに、取り返しのつかない事態になってしまうこともあるのです。
ここではそんな時に起こってしまった事件によって、最悪のストーリーを歩む事になってしまったAさんの体験談をご紹介します。
夢のマイホームを購入しました。
建築条件付土地であったためにほぼ建売のようなものでしたが、それまでのマンション暮らしにくらべたら全然広い間取りで、建築中は「ペットが飼える」とか、「新しい家具や電化製品を買おう」など、夢の広がる数ヶ月でした。
引渡しも無事終了し、引越しまであと数日に迫ったある日、購入した不動産屋さんから「隣家が火事になり、新築の自宅が延焼した」という連絡を受けました。
一瞬目の前が真っ暗になったものの、延焼ということは自分自身に全く非がないわけで、火元の家がどうにかしてくれるだろう、という考えが頭をよぎりました。
しかし、その後すぐに私はどん底に突き落とされます。
不動産屋さんは「火元には賠償責任がないため、修復は自身で行う事になる」という事実を告げられたのです。
思わず「はぁ?」と電話口で叫んでしまいました。
実は火災保険には加入する手続きはしたものの、その契約開始日は「引越しした日」にあわせてしまい、「引渡し日」にはしなかったのです。
延焼具合は家の1/4が燃えてしまい、とてもじゃないけど済む事は出来ないレベルであること、建て直しをするしかないような状態であること、を重ねて不動産屋さんから説明をされました。
念のため火災保険会社に連絡をしてみたものの、やはりどうにもならず。
火元の住人は平謝りしてくれましたが、火元の住宅はほぼ全焼。
火災保険により自分の住宅はなんとかなるものの、隣家であるうちまで面倒見れるような金額を支払う事が出来ない事を泣きながら話してくれました。
念のため弁護士に相談もしてみましたが、損害賠償を取れたとしても、下手したら弁護士費用の方が高くなってしまうかもしれない、ということでした。
要するに、どうにもならないのです。
示談の末、取り壊しの費用は火元の隣家が持ってくれる事になりました。
本来はそんな義務を追う必要はないのですが、せめても、という隣家の心遣いでした。
夢のマイホームに引っ越す事はかなわず、そこにあるのはただの更地。ダンボールにしまった荷物をもう一度紐解くこともできず、ただ毎日涙に暮れる日々を過ごす事になりました。